ヨーロッパの大学を出たらヨーロッパに就職できると考えるのも、ヨーロッパが就職難だからヨーロッパで就職できないと考えるのも、両方とも短絡的すぎる

 

ヨーロッパの大学を卒業した中国人は、そのままヨーロッパで就職しようとする人が非常に多い。全体の割合は不明だけど、僕が会っただけでも、かなりの中国人が卒業後に現地で就職している。どの人も、それなりに英語が話せ、少し現地語がわかるレベル。

「中国人ができるなら、日本人留学生もできるだろ。英語のレベルは同じようなもんだし」と僕は思っているけど、ヨーロッパで働いている中国人の話では、中国人留学生と日本人留学生の間には、大きな違いがあるそうだ。

それが、大学で専攻する分野の違い。中国人留学生は、大学で食えるスキルを身につけることに特化する傾向があるとのこと。まあ、実際はどうかわからないけど、彼らの周りの傾向として話をしているんだろう。

話を聞かせてもらった中国人男性たちは、「中国人は、金になる学問に集中してるよ。勉強するのは、機械工学、コンピューター、医学ばかりだ」、「中国に帰りたくなくて、ヨーロッパで就職しようとしてるやつばかりだから、スキルを身につけて現地就職することが頭にあるんだ」、「ここで文学や哲学を専攻している中国人には会ったことない。俺も機械工学じゃなくてドイツ文学を勉強したかったけど、専門家にでもならない限り、その先、どうやって食っていくかわからないから諦めた」と言っていた。

中国の都市部の数学教育レベルは非常に高い。これも中国人留学生には、良い方向に働いているそうだ。ヨーロッパで教育を受けた高校生と比べて、理系の学問には、教育を受けた中国人は強い傾向がある。オーストラリアで教授のアシスタントをしているトルコ人の博士課程の学生も、「中国人たち(学部生)は、クレイジー。教えている私よりも知識がある。『何であなたたち(ほどの知識を持った人)が大学院生じゃなくて、学部生なのよ』って思う」と言っていた。

中国人留学生たちは、自分たちの強みを専攻に活かし、それを留学先の国での就職に結び付けている。多くの中国人留学生が、現地就職をしているのも頷ける。

僕は「専攻も影響するだろうけど、ヨーロッパにおける中国語の需要の問題もでかいんじゃない?」と予想したけど、それは即座に否定された。

「それは違う。スキルのない人の言い訳にすぎない。実際、俺たちは、仕事で中国語なんて使ってないよ。英語だけだ」

なるほど。英語だけであれば、日本人も条件は同じはず。


また、中国人がヨーロッパで就職してる現実に関して、彼らは「日本人とは、必死さも違う」とも言っていた。

「日本人は、別に日本で就職してもいいと思ってるだろ。中国人は違う。政府がコントロールできない国外で就職して、子供たちに海外のパスポートを持たせたいんだよ。アメリカやオーストラリアの中国人移民を見てみろ。日本とはレベルが違う、移住への執念みたいなものがある」

確かに、中国を脱出したいという中国人は、トルコでもポーランドでもハンガリーにもいたし、以前に住んでいたカナダには大量にいた。帰りたくないから、現地で職を得るために必死になる、というのは、まあ、理解できる。

日本人の中には、ヨーロッパで就職するのは無理、と考えている人が存在する。語学力も含め、スキルのない人に限って言えば、確かにほぼ可能性はない。そんな日本人を現地企業がわざわざ雇う理由が見つからないので、それは当たり前のこと。

でも、「無理だ」というのは間違っている。スキルがあれば、たとえ日本人でも留学後の可能性は開ける。中国人たちがいい例だ。

一番ダメなのが、「ヨーロッパが就職難だから、僕も就職できない」という思考パターン。 「就職難だから留学生も就職は無理という単細胞は中国にもいるけど、そんなのは、その人のスキルと情熱次第、スキルの需要と供給のバランス次第。スペインは就職難だからって、スペインでは就職できないと考えてるバカな中国人はいない。ジョブマーケットを調査して、実際に就職してるやつはたくさんいる。ポーランドなんか経済が好調だから、俺たちだって狙ってるよ」

彼の言う通り、「ヨーロッパは就職難だから、留学生も就職できない」というのは短絡的で、浅はかな考えではある。誰がいい加減な事を言い出してるのか、イギリスに増えているポーランド人移民を見て、ポーランドは就職難だと言い出している人間もいて、中国人が呆れていた。就職は、そもそもがスキルの需要と供給のバランスで決まる。短絡的に現地人の就職難を留学生の就職と結び付けることはできない。これがわかっていない人は、中国でも日本でも、「ヨーロッパの就職難」という漠然とした言葉に過剰反応してしまう。


特にアジアも含め国際的な活動をしている企業では、英語、現地語に加え、中国語や韓国語を話せる人を雇うメリットは大きい。韓国人の友人は、そういう企業を狙ってインターンをしたり、コネを作ったりして、今は就職を決め、ドイツのフランクフルトで研修をしている。

ポーランドの企業にヒヤリングした限りでは、国際的な企業は外国人の雇用にも積極的だ。ただ、特別なスキルがない場合は(主に文系専攻)、現地語に長けていることが条件になると明言していた。多くの場合に英語を共通語にして働く理系の人たちと違い、文系専攻であれば、英語だけでなく、現地語をマスターすることが、就職にはほぼ必須になる。



自分で調査せずに、適当に「ヨーロッパは就職難だから、就職は無理」という人は、現地企業が何を求めているかも知らず、怠惰な態度で可能性の模索を諦めている点で、ヨーロッパに行っても就職できる可能性は低い。

僕のインタビューを受けてくれた中国人、韓国人グループのように、スキルの需要と供給を見極め、必要なスキルを大学で磨ける人は、卒業後に現地で道を切り拓く可能性がある。実際に、僕が話した人たちは、それを行動して証明した人たちだ。
中国は、何もせずに現在の経済発展を遂げているわけではない。北米でもヨーロッパでも、必要な努力の見極めを怠らない多くの中国人留学生が、母国の凄さを作り出すことに一役買っている。中国人たちのインタビューでは、「やっぱ中国人すげえわ。ゴール設定から、ゴール達成までの道が戦略的」という感想しか出てこないくらい、彼らの積極性、戦略的思考に感心した。

日本人留学生は、多くの中国人留学生のように、「金になる学問」に集中して就職できるスキルを身につけているわけではない。文系専攻も比較的多い。その分、たとえ希望したとしても、中国人留学生よりは現地就職の割合は減るだろうと予想している。

それでも、就職は自分次第。ヨーロッパの大学に行けば、日本の一般的な大学に行くよりも、有利な環境でヨーロッパ就職に挑める。語学、異文化コミュニケーション力が身につきやすく、ヨーロッパという場で就職戦線にのぞめる。それを活かすも殺すも自分次第。本気で現地就職したければ、戦略的思考で目標を達成してほしい。

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Yasu is the founder and CEO of Good Friends Japan. We aspire to offer opportunities of international education to unprivileged young adults. リベラルアーツ教育研究、英語学習のためにICUを中退。アメリカ、カナダに学部・大学院留学。米の中高の特別講師、サッカーの助監督、カナダで路上生活者と共生。カナダの教会で、異文化教育、カウンセリング、葬儀等を担当。シンガポール勤務を経て、児童養護施設出身者、中退・引きこもりの若者など、社会的に困難な状況でがんばる人たちの国際教育支援チーム創設。教育学修士。@yasukuwahara