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ジョン・テリーは、チェルシーの外では嫌われているかもしれないが、彼こそがイングランド最高のディフェンダーだ【海外記事】

プレミア最高のセンターバック

ジョゼ・モウリーニョの主将は、自らの監督と同じように自分のクラブの外では愛されていないが、ピッチ上では最高のパフォーマンスを見せている

今シーズン、プレミアリーグ最高のディフェンダーは誰か?来シーズン終了までクラブとの契約を延長した一方、代表チームでは二度とプレーすることのないであろう、34歳のベテランで疑いはない。

ジョン・テリーだ。

他の選手たちがテリーをプレミアの最優秀選手に投票するかも興味深い。投票はすでに始まっている。また、プレミアのベストイレブンに選ばれるかも注目だ。前回の栄光からは、既にしばらくの時が経ってしまっている。

他の選手たちから、テリーがプレミアの二大セントラルディフェンダーの一人として見なされたのは、2005/06シーズン以降はない。それまでの三年間、彼は既に三年連続で選ばれたこともあったが、それ以来、彼はその座を射止めることはなかった。

2006年からは、リオ・ファーディナンドが4回、ビディッチが4回(マンUで同僚のファーディナンドとビディッチの同時受賞は、その内の3回)、ヴィンセント・コンパニが3回、ギャリー・ケーヒル、ファブリシオ・コロッチーニ、ヤン・ヴェルトンゲンなどが1回。テリーは一度もない。

しかし、テリーは、UFEAのベストイレブンには、2007年から2009年まで、三年連続で選ばれている。これは選手たちによる投票ではなく、ファンによる投票であり、大多数はイングランド外からのものだ。


分かれる選手からの評価

なぜ、テリーは、プレミアリーグで見落とされるのか?テリーがコンスタントに活躍しているのを考えると、おそらくは、メディアやサポーター以上に、選手たちの間で評価の分かれる選手だからだ。

テリーは賞賛されてはいるが、ジョゼ・モウリーニョのように、それはスタンフォード・ブリッジの外で、ではない。ジェイミー・キャラガーは、最近、モウリーニョの試合での功績は敬意を表されるし、モウリーニョは史上最も成功した監督になれる人物だが、自らが率いたクラブの外では愛されることはないだろう、と述べている。

これは、ほとんどの成功した監督に当てはまるかもしれない。しかし、選手としてはどうだろうか?テリーのような長く活躍している選手は、そのほとんどが、クラブの外でも愛情と尊敬を勝ち取っている。ライアン・ギグス、スティーブン・ジェラード、フランク・ランパードを思い浮かべるといい。しかし、テリーの場合は、その反対だ。プライベート(これはギグスも同様だが)、アントン・ファーディナンドに対する人種差別疑惑が原因なのだろう。後者は、裁判では潔白とされたが、FAでは同じ結論を下していない。

しかし、たとえテリーの人気に疑問を呈することはできても、彼の選手としての質には疑問の余地はない。彼は、突出したリカバリー能力、一対一の強さ、柔軟な対応能力を持った、驚くべきディフェンダーだ。


高騰するセンターバックの価値

シティーは、マンガラに4200万ポンドを費やした。ユナイテッドは、ドルトムントのフンメルスに、3000万ポンドを費やすかどうかを検討中だ。たとえ所属のレアルではベンチでも、ラファエル・ヴァランは、トップクラブから引く手数多だろう。

センターバックの価値は高騰しているだけでなく、選択肢はどんどんと少なくなっている。センターバック獲得は、クラブにとって死活問題だ。クラブは、必死になって、そのポジションを任せられる選手を漁っている。

イングランドには、ギャリー・ケーヒル、フィル・ジャギエルカ、クリス・スモーリング、フィル・ジョーンズが、ロイ・ホジソン指揮下で召集され、U21にはジョン・ストーンズがいる。しかし、これ以外では、選択肢はほとんどないと言っていい。リドリー・キングをケガで失ったイングランドが、それでもキャラガー、ファーディナンド、ソル・キャンベル、テリーのような質の高い選手をW杯に帯同できた、選択肢の多い2006年のような時代は過ぎ去っている。

これらの突出した選手のうち、3人は引退し、ファーディナンドは、QPRで斜陽の時を迎えている。この世代では、少なくともクラブにおいては、テリーは最高峰のレベルでプレーしている唯一の選手だ。

テリーは、代表チームに戻ることはない。それが全ての関係者にとってベストだろう。ファーディナンドの件以降、代表チームからの引退を決断したのは、他ならぬテリー自身だ。追放されているような現況は、彼が自分で決めたことなのだ。


相手からの賞賛と統計が示すテリー

テリーは代表を引退して正解だった。正しい時を選んで去っている。一時的にでもチェルシーの主将の座を剥奪されずにいたのは、幸運だったくらいだろう。しかし、それでも、今シーズン素晴らしいプレーを見せているテリーが賞賛されない理由にはならない。

リーグの得点王であり、ブレーク中のハリー・ケインは、キャピタルワン・カップの決勝でのチェルシーに敗れた後、「テリーは、今まで対峙したディフェンダーの中で、最も難しい相手だった」と言っている。

トッテナムがチェルシーを5ー3で破ったその前の対戦では、ケインはテリーを翻弄していたが、二度とそのような事は許されなかった。

ケインは、次のように述べている。

「テリーが経験豊富で、どれだけ卓越したディフェンダーであるかを教えられたよ」

テリーは、過去5シーズン退場したことはない。また、今シーズンのプレミアでは1回しかイエローカードを出されていない。過去3シーズンをさかのぼっても、わずか5回だけだ。

Optaの統計によると、テリーは今シーズン、既に38回もタックルでボールを奪っている。昨シーズンは、29回だ。しかも、ファールは9回しか犯していない。タックル、ヘディング、ブロック、クリア、ヘディングによるクリア、パス、チャンスメイクの全てにおいて、ケーヒル、ジョーンズ、スモーリングを上回っている。ジャギエルカの数字も素晴らしいが、それは、このエバートン主将が守備に回る回数が、首位チェルシーのテリーと比べると多いからだとも言えるだろう。


復活した34歳

また、テリーは、驚異的な回復力も見せている。2012/13シーズン、彼はリーグ戦わずか14試合の出場にとどまっており、そのうち先発は11回だ。試合のペースについて行けず、ぎこちない姿に見えたり、一連のケガがプレーの質に影響していたときには、さすがに彼のフォームも下り坂に差し掛かっていた。

アンドレ・ビラス=ボアスの高い位置での守備は、テリーには合わなかったし、ベニテスは、彼をファーストチョイスとは見なさなかった。

自らの後継者候補のクルト・ズマのような若い才能を開花させるのに熱心でありつつも、テリーは、レーできる間はプレーだけに集中し、監督補佐のような役割からは、身を引いているように見える。

テリーは、30代の選手には一年契約しか提示しないチェルシーのポリシーと恩師モウリーニョ監督に刺激され、また代表戦の間に休息をとることによって、パフォーマンスを保っている。

テリーの復活は、驚異的で、特筆に価する。たとえイングランド代表では見ることができなくても、彼がプレミアのベストイレブンに選ばれることを願っている。

参考

ABOUT ME
Yasu
Good Friends Japan CEO. We aspire to offer opportunities of international education especially to unprivileged young adults. ヨーロッパと台湾で仕事をする北海道育ち。大学をアメリカ、大学院をカナダで修了。リベラルアーツ教育、宗教教育修士。
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