台湾や韓国でも注目を集めている、オランダへの大学英語留学。
留学といえば、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、英国などの英語圏が主流だったけど、非英語圏の一部でも、英語で良質な高等教育が受けられることで、非英語圏に留学するアジア人の比率が高まっている。
非英語圏のヨーロッパで英語で大学に進学するなら、一般的に、最も投資に見合った教育が受けられると見なされているのが、オランダの研究大学。
Top 10 Reasons Why You Should Study In The Netherlands
オランダ大学留学を評価する理由
1)高等教育の評価が高い
高等教育の評価が高く、世界中から留学生を集めているのは、英語圏のアメリカと英国の大学。学費が高く、大学の資金が他国の大学よりも潤沢なこともあり、現状では、この二国の優位は動かない。
しかし、大学レベルの教育評価で、非英語圏ヨーロッパに焦点を当てると、オランダとドイツの二国が、他国を圧倒する。西欧、北欧、南欧の中でも、高等教育の評価が高い国は、オランダとドイツ。

この評価に、非英語圏ヨーロッパで「英語で学べる学士課程の評価」という条件をつければ、群を抜いてオランダがトップになる。
ドイツには、英語で学士課程を学べる選択肢が少ないが、オランダには主要な13の研究大学(universities)だけでなく、職業大学(universities of applied sciences)にも、英語で学べる学士課程が数多く存在し、その数は、ドイツを凌駕している。
以下の外部評価において、英語で学べる学士課程で非英語圏ヨーロッパを国別にチェックしても、オランダが群を抜いて高評価。
- Academic Ranking of World Universities(ARWU)
- QS World University Rankings(QS)
- The Times Higher Education World University Rankings (THE)
- U.S. News & World Report Best Global Universities
- 学部のトリプル・アクレディテーションの有無 *ビジネス専攻限定
コンピューターサイエンス、国際関係学、社会学、経営学、経済学、教養学などの分野で、非英語圏で英語で学べる大学のトップ10を選ぶと、オランダの大学が多数ランクインする。
特に、国際関係学、社会学、政治学、リベラルアーツなどの分野では、英語で学べるプログラムの専攻別トップ10のほとんどは、オランダの大学が占めている。
2)英語が通じやすい
語学学校も経営する教育関連の会社EF Education First(EF)は、各国の英語運用能力のランキングを発表している。
この世界最大の英語能力指数で数ある国々のトップに立つのは、オランダ。デンマーク、フィンランド、スウェーデン、ノルウェーなど、日本でも英語運用能力が高いことで知られる北欧以上のスコアを出しているのは、オランダのみ。
国民の英語運用能力が高ければ、日常生活でも英語が通じなくて困る割合が少なくなる。僕が実際にオランダを訪問したときも、英語が通じないという経験は皆無だった。
実際にオランダに移住した人も、このように書いている。
年齢や地域で差はあれど、オランダではかなり多くの人が英語を流暢に操ります。(公用語はオランダ語)特にアムステルダムは顕著。どれぐらいの浸透具合かというと、
・スーパーのレジで私が外国人とわかるやいなやオランダ語から英語にスイッチ。
・勉強中のオランダ語を使ってカフェで注文に挑戦するも、英語で返事が返ってくる。
という感じ。オランダ語教室で出会ったイギリス人の友達は、在住7年目にしてようやくオランダ語を勉強し始めたという具合で、アムステルダムで会社まで経営してるんだから、どれだけ英語OK!な環境が整っているかわかります。
引用元:私のアムステルダム暮らし
3)英語圏よりも学費が安い
個々の大学の差はあるが、平均してみると、オランダの大学の学費は、日本の私立大学と大差はない。
一つの例として、ティルブルフ大学のGlobal Management of Social Issues専攻は、年間8,900ユーロ(2021年1月のレートで、113万円前後)。国際関係学、社会学系統の学問が、英語環境もキャンパス環境も良好なオランダの主要な研究大学で、この程度の学費で学ぶことができる。
理系の専攻は、学費が少し上がることが多い。トゥウェンテ大学のコンピューターサイエンス(CS)専攻は、年間10,750ユーロ(2021年1月のレートで、136万円前後)。トゥウェンテ大学より評価の高いアムステルダム自由大学、アイントホーフェン大学のCS専攻になると、20万円程度、学費が高くなる。
学費だけを見ると、中東欧やバルト三国ほど安くはない。しかし、高等教育におけるそれぞれの分野の評価の高さ、英語環境の良好さ、キャンパスのよさ、生活のしやすさ、国としての経済力などを考えると、かなり割りのよい教育投資と言える。
4)現地で就職活動をしやすい
オランダの大学に在籍していれば、大学・大学院卒業後の1年間、オリエンテーション・イヤー・ビザを申請することができる。このビザを申請しておけば、卒業後にすぐに帰国を余儀なくされる心配はなくなり、オランダで求職活動ができる。海外就職を狙う場合は、このビザでチャンスは広がる。
一度雇用されると、雇用されている間は滞在期限がなく、空白期間なしで5年間勤務すると、オランダのパスポートも申請できるようになる(2020年時点の申請者情報なので、必ず自分で再度の確認をすること)。制度をうまく利用すれば、大学卒業がオランダ移住の一歩にもなる。
ただし、簡単に現地で就職できるわけではなく、就職には語学も含めたスキルが必要。オランダ政府が増やそうとしているのは、ただの外国人ではなく「高度なスキルを持った外国人」であり、特筆するスキルがないと、どこに行っても就職は難しい。この意味では、理系の専攻が有利に働く。
5)キャンパス環境がいい
学費の安すぎる西欧、南欧の国立大学は、キャンパスがメインとは離れたところに位置する狭い建物であることも多い。イタリア、スペイン、ベルギーなどの国立大学は、キャンパス環境という点では、日本の主要大学と比べてしまうと疑問符がつくところも多い。
オランダの研究大学は、教育環境の評価も高く、設備を含めたキャンパス環境も良好。様々な国の大学を訪問してみて、ヨーロッパで英国に比肩する設備が整っているのはオランダ、という印象。一般の日本人が思い描く「大学」というイメージに、比較的近い環境の国立大学が揃っている。
オランダの国力に関する評価
オランダは、ヨーロッパの主要国に数えられ、教育レベル、ビジネスのしやすさ、生活の質、経済規模など、多様な側面でヨーロッパの上位を占める。
オランダという国が、外部の機関からどのように評価されているかを、参考までに少しまとめてみた。それぞれの評価基準の指標は、リンク先から確認していただきたい。
U.S. News & World Report
ペンシルバニア大学ウォートン・スクール(米国)、コンサルティング会社BAV Group、U.S. News & World Reportが共同で作成する、世界でベストの国ランキングで、オランダは9位になっている。
参考:Overall Best Countries Ranking 2020
- スイス
- カナダ
- 日本
- ドイツ
- オーストラリア
- 英国
- アメリカ
- スウェーデン
- オランダ
- ノルウェー
国際通貨基金
IMF(国際通貨基金)のデータによるヨーロッパの名目GDPランキング(例外的にトルコ、ロシアも含む)では、7位に位置している。名目GDPの数字は、国の経済規模の目安になり、数字が高いほど、一般的には「経済大国」と呼ばれる。
参考:World Economic Outlook Database 2020
- ドイツ
- 英国
- フランス
- イタリア
- ロシア
- スペイン
- オランダ
- スイス
- トルコ
- ポーランド
The Good Country Index
国連のデータを基に民間の組織によって作られた国別ランキングで、オランダは2位になっている。ただ、これは地域の偏りが大きいため、ヨーロッパでのランキングと考えた方がいいかもしれない。
- フィンランド
- オランダ
- アイルランド
- スウェーデン
- ドイツ
- デンマーク
- スイス
- ノルウェー
- フランス
- スペイン
フォーブス
フォーブス誌が発表するビジネスに最良の国ランキングでは、オランダは4位にランクインしている。「香港」は例外的に国としてカウントされている。
参考:Best Countries for Business
- 英国
- スウェーデン
- 香港
- オランダ
- ニュージーランド
- カナダ
- デンマーク
- シンガポール
- オーストラリア
- スイス
その他
他にも、U.S. News & World Reportによる
など、オランダは世界でも高い評価を受けている国。
教育の質を高く保ちつつ、学費を抑えて英語で留学するのであれば、オランダは真っ先に選択肢に入れるべきだと判断している。
オランダの主要な大学
オランダの大学には、大きく分けて、研究大学と職業大学・応用科学大学がある。入学までに相応の学習量が必要とされる研究大学に進学するオランダ人高校生の割合は高くない。研究大学に進学する学生の学習意欲は、非常に高い傾向がある。
Universitiesに分類される学校は、他にも大学院教育に特化したナイエンローデ経営学院、オープン・ユニヴァーシティがあるが、主要なものは下記の13の大学。この13の大学を、オランダでは一般的に研究大学と呼んでいる。
- アムステルダム大学
- アムステルダム自由大学
- デルフト工科大学
- アイントホーフェン工科大学
- フローニンゲン大学
- ライデン大学
- マーストリヒト大学
- ラドバウド大学
- エラスムス・ロッテルダム大学
- ティルブルフ大学
- トゥウェンテ大学
- ユトレヒト大学
- ワーゲニンゲン大学
応用科学大学(universities of applied sciences)は、「職業大学」とも訳されることがあるように、実践に焦点を当てる傾向がある大学。
アカデミックな学びではなく、実践的な学びを希望する場合は、応用科学大学を視野に入れるのも、一つの選択肢。オランダであれば、芸術、ビジネス、ITなど、さまざまな分野を英語で学ぶことができる。
奨学金の選択肢
日本の私立大学と大差ない学費とはいえ、決して生活費の安くないオランダで、学費と生活費の両方を賄うのは簡単ではない。
留学費用が足りないと感じる場合は、奨学金のチェックは必須。一部をまとめたので、リンク先を参考にしてもらえれば嬉しい。
トビタテ留学奨学金
https://tobitate.mext.go.jp/
海外留学のための奨学金
http://ryugaku.jasso.go.jp/scholarship/scholarship_guide/
外国政府などの奨学金
http://ryugaku.jasso.go.jp/scholarship/scholarship_foreign/
日本政策金融公庫の教育ローン(貸与型)
https://www.jfc.go.jp/n/study_abroad/index.html
いくつかのリンクを貼っただけで、まだまだ奨学金の選択肢はある。
個人的に狙い目だと思うのは、地域のロータリーの奨学金。大学で学んだことを日本の地域社会に還元して地域貢献する人は、自分が所属する地域のロータリー奨学金も必ず調べてほしい。
地域のロータリー奨学金は、ネット上には詳細情報がないことも多い。自分が該当する地域のロータリーのサイトを調べ、そこから直接ロータリーに奨学金の問い合わせをすることを、強くお勧めしている。
大学進学のための準備コース
オランダの研究大学に進学するには、日本の高校卒業資格だけでは足りない。Aレベル試験、SAT、国際バカロレアなどと無縁の日本の平均的な高校生が、オランダの大学に進学する一般的な方法の一つが、一年間、オランダで大学進学準備コースに通う方法。
英国やオーストラリアなどと同じシステムで、大学進学準備コース(ファウンデーションコース)が大学の1年目に相当する。オランダの大学は大多数が三年制の学士課程なので、準備コースの一年と合わせ、順調にいけば大学を四年で卒業できる。
詳細は、以下のリンクを参考にしてほしい。
【ヨーロッパ英語留学】難関大学の条件付き入学許可証がもらえる公式準備コース(オランダ・スウェーデン留学編)