メディア操作
チャンピオンズリーグの第一レグで、チェルシーは、PSGにアウェーで3-1で破れてしまった。そのとき、本拠地スタンフォード・ブリッジでの第二レグに向けて、モウリーニョが行ったのは、選手を奮い立たせるだけではない。襲いかかるプレッシャーに対応できる状態に向けていくことだった。
第二レグが始まったのは、審判がキックオフの笛を吹いたときではない。本当のキックオフは、モウリーニョが恒例のメディア対応をしていた、試合の24時間前に始まっていた。
試合前のプレス・カンファレンスでの彼の言葉は、選手たちをPSG戦に向けて奮い立たせるものだった。
彼は自信に満ちて、雄々しく振る舞った。そして、選手たちとフットボール界に自分のメッセージを発するために、メディアをうまく利用した。
「チェルシーは、闘わずに敗れ去ることはないのだ」
彼らが、その後、2-0でPSGを破り、アウェーゴールの差で準決勝に進んだのは、モウリーニョの影響があったことは間違いない。
それからモウリーニョは目立たなくなったが、ときが来れば、選手たちにメッセージを伝えるために、またメディアを利用することだろう。
情熱
モウリーニョは、最新のスーツとフィットしたシャツを着こなし、タッチライン際では優雅に見えるかもしれない。しかし、そんなものに騙されてはいけない。
なめらかなイメージの裏にいるのは、フィールドから出るボールを蹴り返し、不正なプレイに怒り、自分の選手たちの成功に一喜一憂して、いつでも飛び出す心構えでいる、スポーツウェアをまとった監督だ。
他の監督は、もっと上品なやり方で選手たちと一体感を出そうとするかもしれない。しかし、モウリーニョは、行動でそれを表現する。それを見て選手たちは自分の役割を理解し、モウリーニョは選手たちとうまく混ざり合う。選手たちは、監督から自分が価値ある選手だと伝えられる。彼らがベンチを見たときに、そこにいるのはただの監督ではない。共に戦場に駆け出す一人の男なのだ。
これが、モウリーニョが多くの選手たちと、ただの選手と監督以上の絆を育んだ、多くの理由の一つだろう。
労働倫理
「モウリーニョは、誰もがやらないやり方で選手たちをコントロールする」
自伝の中でズラタン・イブラヒモビッチは記している。
「彼は軍のリーダーだ。この男のためなら死ねる、と思わせる監督だ。他の監督の倍は働く。そして選手を試合に向けて準備させるんだ」
もしも、監督が選手にだけ全てを要求して、自分は何もしないのであれば、そんな監督にどのような結果を残すことができるだろうか。
イブラヒモビッチは、強大なエゴで知られた人物だ。そのイブラヒモビッチにさえ、モウリーニョの労働規範は深い影響を与えている。モウリーニョの手法が、あのイブラヒモビッチからこれだけの反応を引き出せるなら、他の多くの選手に関しても同様だろう。
愛情
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このチェルシー監督を知るには、これだけでも十分だろう。
先のイブラヒモビッチのコメントと似ているが、このポルトガル人指揮官が選手と育む絆は、とても大きい。選手への愛情によって、その絆は築かれている。
チームを率いているとき、そのチームの選手を、モウリーニョは何よりも愛する。
心、ファイティングスピリット、勝ちたいという望みを、選手が全て彼に見せれば、彼もそれに報いてくれる。そして、選手への愛情は、選手を成功へのモチベーションに駆り立てる。
その反面、選手が全てを見せることができなければ、モウリーニョは失望し、選手はモウリーニョを理解できずに終わるだろう。
自信
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サッカー選手が自信に満ちあふれたとき、彼らは世界を制することができる、とさえ感じる。
日程が詰まってるだと?
それがどうした。
怪我だと?
注射をしてくれ。
不利だと?
間違ってることを証明してやるよ。
気持ちの問題は、サッカーだけではなく、全てのスポーツに当てはまる。
モウリーニョの就任によって、選手たちは気持ちを育てる監督を手にした。選手は彼のためにも勝ちたいという気持ちにさせられ、モウリーニョは勝利のためにチームを磨き上げる。
モウリーニョは、選手たちに敗北の予感を植え付けない。彼のやり方は、選手たちに「自分は成功できる」という自信を焼き付けるものだ。上のYouTubeクリップは、試合前のチームトークにおいて、彼が選手に静かに信念を伝えている場面。
「負けることはできない」
モウリーニョは、選手たちに言った。
敗北すれば、チェルシーのシーズンにどのような影響があるかをただ伝えているのではない。繰り返しに注目してほしい。
「負けることはできない。我々は、負けることはできないんだ」
もしモウリーニョが十分に伝えたなら、選手たちはそれを信じる。
選択の余地なく、信じるのだ。
参考:5 Reasons Why Chelsea Boss Jose Mourinho Is the Master Motivator
https://kuwayasu.com/archives/10966