“Somebody’s opinion of you doesn’t have to be your reality.”
– Les Brown
北米のある先住民の部族は、次の物語を残している。
あるところで、チェンジリングイーグルというワシが卵を産んだ。
しかし、産み落とされたその卵は、風に吹かれて飛んでいき、ニワトリの巣の中に紛れ込んでしまい、このワシの卵は、やがてニワトリの巣の中で孵化してしまった。
そして、生まれたワシは、周りと比べて自分の姿かたちを少し特殊だと思いながらも、自分がニワトリだと思い込んで、ニワトリたちと一緒に育っていく。
あるとき、このワシは、一緒に育ったニワトリの仲間たちと野原でくつろぎにいき、大空を飛びまわる一羽の立派な鳥を目にして、周りの仲間に尋ねた。
「ねえ、みんな。あれは、一体、何なんだい?」
「ああ、あれは、チェンジリングイーグルというワシだ。空の王様だよ」
一羽のニワトリが答えた。
「へえ。すごいなあ。俺もあんなふうに飛べたらなあ」
「はは。俺やおまえが、あんな風になりたい、なんて思っても無駄だよ。俺たちは、ニワトリなんだからね」
そのように言われたそのワシは、「無駄だ」と言われたことはせず、言われた通りにした。
そして、いつまでも自分がそのチェンジリングイーグルであることに気がつかず、自分をニワトリだと思い込んで、やがて年老いて死んでいった。
Tくんが誰であるかを決めるのは、周りの人間じゃない。他人の声で、自分を見失うな。
たとえ、周りの人間が、適当にTくんのことを決めつけようが、Tくんの可能性を否定しようが、いい加減な噂を広めようが、その人たちには、Tくんが誰であるかを決めることはできない。
他人がどう思うか、他人がどう見るか、他人がどう評価するかを怖れてばかりいたら、いつまでたっても大切な人生を周りに振り回され続ける。
いつまでたっても、周りに自分の人生をコントロールされ続ける。
たった一度の人生、他人に自分を決められて生きることになるんだ。
Tくんが誰であるのかを決めるのは他人じゃない。
絶対に自分を見失うな。